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コラム
2024年12月11日 コラム

最低賃金の計算方法

最低賃金制度とは、労働者の生活を守るために国が定めた最低基準です。

これは、企業が労働者に支払う賃金が、地域や業種によって定められた基準を下回らないようにするためのものです。最低賃金の計算方法は、労働時間や賃金の支払い方法に応じて異なり、以下のように分類されます。

1. 時間給制の場合

時間給制の労働者に対しては、1時間あたりの賃金が最低賃金額以上であることが求められます。

時間給≧最低賃金額(時間額)

例えば、大阪府の場合、2024年10月1日以降の最低賃金は1,114円です。このため、1時間あたりの賃金が1,114円以上でなければなりません。

2. 日給制の場合

1日あたりの所定労働時間をもとに日給を計算し、これを労働時間で割って時間あたりの賃金を求めます。

日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

この金額が最低賃金額を下回っていないことを確認します。

例えば、日給が8,000円で、1日の労働時間が8時間の場合、1時間あたりの賃金は1,000円となります。この場合、最低賃金を満たしていないことになりますので、日給を引き上げる必要があります。

3. 月給制の場合

月給制の場合も同様に、月の労働時間に基づいて最低賃金を守る必要があります。具体的には以下のように計算します。

月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

月給額を月間の総労働時間で割り、1時間あたりの賃金を算出します。
この金額が最低賃金を上回っているかを確認します。


下記のAさんを例に計算してみましょう。Aさんの勤務地は大阪府です。

まずは、通勤手当は最低賃金から除外されるので合計から引きます。

211,000円-7,000円=204,000円

この金額を時間額に換算します。

(204,000円×12ヶ月)÷(255日×8時間)=1,200円

上記の計算によりAさんの時給は1,200円と分かります。
大阪府の最低賃金は1,114円なので問題ありません。

最低賃金違反の影響

雇用者が労働者に最低賃金未満の賃金しか支払っていない場合には、労働者に対してその差額を支払わなくてはなりません。

使用者が地域別最低賃金を下回る賃金を支払った場合、最大50万円の罰金が科されます。

地域別最低賃金

日本の最低賃金は地域ごとに設定され、各地域の経済状況や物価に応じて毎年見直されています。
これは都道府県ごとに適用され、雇用形態や国籍、性別に関係なくすべての労働者に適用されます。「地域別最低賃金」は、全国すべての都道府県で設定されていて、基本的には毎年改定されます。その金額は、都道府県労働局長が、金額改正(引き上げ)が必要だと認める場合に地方最低賃金審議会に諮問し、同審議会の意見(答申)を尊重して改正(引き上げ)を決定します。

最低賃金の周知義務

最低賃金法第八条には
「最低賃金の適用を受ける使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該最低賃金の概要を、常時作業場の見やすい場所に掲示し、又はその他の方法で、労働者に周知させるための措置をとらなければならない。」
とあります。

使用者は、事業場内に掲示するなどして労働者が常時認識できる状態にしなければなりません。
違反した場合は30万円以下の罰金に処することが定められています。

最低賃金は労働者の権利を守るための基本的な基準であり、企業はこれを守る義務があります。労働者自身も、自分の賃金が最低賃金を下回っていないかどうかを確認することが重要です。
最低賃金の計算方法は、支払い形態や労働時間に応じて異なるため、各自が正確に理解しておく必要があります。最低賃金に関する詳細は、厚生労働省の公式サイトでご確認ください。